世界のしょうない音楽祭へ出演(大槌子どもオーケストラ・豊中みんなの音楽教室)レポート
2023年2月25日
2月25日、大槌子どもオーケストラの選抜メンバーと、昨年9月に始まったばかりの豊中みんなの音楽教室の子どもたちは、大阪府豊中市のセンチュリーオーケストラハウスで開催された「世界のしょうない音楽祭」に共に参加し、堂々と演奏を披露しました。
この音楽祭は、豊中市が毎年、日本センチュリー交響楽団や、大阪音楽大学と開催しているものです。昨年9月に始まった豊中みんなの音楽教室の子どもたちの初めての演奏のお披露目と共に、豊中市と東日本大震災以来絆を深めてきた岩手県大槌町で同じエル・システマのスピリットを持つ、大槌子どもオーケストラの子どもたちの共演のお話をいただき、実現できたことは、双方の子どもたち、関係者にとっても大きな喜びでした。
また、大槌子どもオーケストラの派遣費用については、クラウドファンディング「大槌から豊中へ。子ども達の交流演奏で震災の記憶を次世代に伝えたい」を31日間にわたって行い、70人の方から、目標の600,000円を大きく上回る857,000円のご支援をいただきました。(旅費を上回る分は、子どもたちの日々の楽器のメンテナンス費に充てさせていただきました)ご支援くださった皆様、本当にどうもありがとうございました!
コンサートと、道中の様子をリポートします。
「世界のしょうない音楽祭」に参加する大槌子どもオーケストラ選抜メンバーの、大槌学園8年生2名、6年生2名、4年生2名の6名は、2月24日(金)の下校と同時に陸路200キロ仙台へ移動し仙台空港から関空へ。夜の大阪入りとなりました!
1泊して25日(土)に緑地公園会場入りでリハーサル、そしてお昼は念願の「たこ焼き」をみんなで食べました。実は、このたこ焼きの時間を楽しみにしていたメンバーも多く、翌日の本番への大きな力になりました。
そして迎えた本番!
今回、ご縁のある豊中市での演奏ということで、大槌の子ども達だけのステージは大槌町内のイベントなどでもよく演奏している「聖者の行進」と「ひょっこりひょうたん島」を選曲しました。初めてのチャレンジでもありましたが、大槌子どもオーケストラ管楽器講師で、大槌出身トランペット奏者・臺隆明先生によるアレンジにより、4年生せいなさんのドラム、6年生あやかさんのエレキベース、そして、8年生(中二)のゆいさんのクラリネットに弦楽合奏を加え、大槌の子どもたちらしく元気に賑やかに演奏しました。
また、弦楽器だけの演奏は、モーツァルト作曲の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第1楽章を日本センチュリー交響楽団の皆さんが参加してくださり、一緒に演奏しました。
この曲は、大槌の子どもたちが、音楽祭に向けて夜も集まって練習してきた曲です。簡易版ではない、原曲の譜面はやはり難しく、練習では苦労していましたが、本番では、プロの奏者の皆さんのサポートが入り、素晴らしく感動的な演奏となりました。
続いては、豊中みんなの音楽教室の18人の小学生メンバーの初めてのステージです。
バイオリンを初めて手にしたのが昨年10月で、月2回の練習という時間的制約もありましたが、先生方の工夫を凝らした熱血指導もあり、オッフェンバック「天国と地獄」よりカンカン、フランス民謡「きらきら星」、ヴェルディ「リゴレット」より女心の歌の3曲、そして日本センチュリー交響楽団の皆様と一緒にチャイコフスキー「くるみ割り人形」よりトレパックを堂々と演奏することが来ました。
更には、日本センチュリー交響楽団のコミュニティープログラムディレクターの作曲家・野村誠氏の指揮とピアノで、大槌と豊中のエル・システマの仲間たちが初共演!
子どもたち用にアレンジした「かえるのうた」とベートーヴェンの「歓喜の歌」を披露しました。
大槌のドラム担当のせいなさんは、野村先生から「8ビートを入れてやってみようか?」と本番前に提案があり、リハーサルなし、楽譜なしのぶっつけ本番となりました。「やります!」と前向きに挑んだせいなさん。臆することなく見事に演奏やり切ってくれました。
この演奏会のために大槌から駆けつけた平野大槌町長もステージで堂々と演奏する大槌の子どもたちに惜しみない大きな拍手を送ってくださいました。
参加した子どもたちの感想です。
「何度かミスしてしまったこともあったけど豊中の子達と一緒に演奏できたこと、今まで練習してきた成果を最大限出し切れたこと、とてもいい経験になりました。アイネクライネもまだ完璧じゃないしミスも多いのでもっと練習してできる曲を増やせるようにこれからも頑張りたいです。」(りりさん)
「世界のしょうない音楽祭に参加して、初めて見る楽器や元気な大阪の子達に会えて楽しかったです。お好み焼きを初めて食べて、とても美味しかったです。また共演したいです。」(ゆいさん)
「今回、センチュリーの方々や、豊中教室の子たちと一緒に演奏できたことが1番心に残りました。アイネクライネを新しいメンバー3人を加えて挑戦をしたことで、練習の中で色々なことを教え合いができたし、聖者の行進をジャズでは、弦楽器だけでない楽器で演奏し、お客さんに大槌らしさを届けられたこと、豊中の子達とセンチュリーさんと一緒に演奏できたことがとても楽しかったです。大阪で演奏したことをこれから町内のイベントでもできるように練習を頑張って行きたいです。」(ゆりかさん)
子どもたちからは前向きな感想が出てきたことをスタッフはすごく嬉しく思っています。この経験がまた、他の仲間や未来の仲間に引き継がれていくように、今後の活動を進めていきたいと思います。
会場へお越しいただいた豊中の皆様、主催の豊中市関係者皆様、日本センチュリー交響楽団の皆様、ドラムセットとベースアンプをご提供いただいた桜塚高校軽音楽部の皆様、ステージを盛り上げていただいた野村誠先生、また、なにより今回、クラウドファンディングを通してご支援・応援いただいた皆様のおかげで、子どもたちはステージに立つことが出来ました。心から感謝しております。本当にありがとうございました。
文・写真 臺 隆明、田添菜穂子
編集 田添菜穂子