3月29日に開催される音楽祭がだんだんと近づいてきました。コロナ禍ということで私たちは同じ舞台に立つことが難しくなってしまいましたが、今年の音楽祭に映像で参加する国と地域をご紹介いたします。今回ご紹介するのは、「Ação Social pela Música do Brazil (Social Action for Music of Brazil, ASMB)」です。
ASMBは音楽を通して脆弱な状況に置かれた子どもたちに対し音楽を学べる環境を提供するコミュニティとして活動しています。この団体の歴史は、エル・システマの創設者である故アントニオ・アブレウ博士の友人で、南米でも著名な指揮者であったデイヴィド・マチャド氏の創設により始まりました。しかし、彼の突然の逝去を受けて、その遺志を引き継いだフィオレラ・ソラレス夫人がここまで大きな組織に育ててきました。創設から約25年が経つ今では、1人の市民として自立し成長してゆく子どもたちのため、リオ・デ・ジャネイロをはじめとした各都市で音楽を学べる12の施設をもち、公的な幼稚園や学校とのパートナーシップのもと活動を行なっています。さらに4,000人近くの子どもたちに音楽を届けているほど、ブラジルの社会にとって大切な役割を担っています。
ASMBの主な活動はコロナ禍によって今年は大きく変わってしまいました。子どもたちは学校に通えなくなり対面でのレッスンが行えなくなった2020年は今まで以上に子どもたちの社会的孤立が生まれる複雑な環境に直面している状況といえるでしょう。そこでASMBは自由に外出できない子どもたちのためのレッスンのオンライン体制の強化や新たな活動方針を生み出し、ウィズコロナ状況下で子どもたちとの繋がり方や社会の新たな巻き込み方を模索しています。2020年にはバーチャルクリスマスリサイタル、年末にはブラジルの他のオーケストラとともにマスクをしてソーシャルディスタンスを保った安全なホールでの演奏会が開催されました。
新型コロナウイルスの影響によって子どもたちの音楽活動のサポートについて深く考えさせられる状況となりました。この難しい状況を乗り越えさらに成長したASMBの子供たちの姿を映像配信という新しい形態で見られる音楽祭が待ち遠しいですね。
Comments