ベネズエラのエル・システマが輩出した若きコントラバス奏者、エディクソン・ルイス(Edicson Ruiz)さん。11歳でコントラバスを学びはじめ、史上最年少の17歳でベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団しました。これまでザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭で演奏を披露してきたほか、ニューヨーク、ベルリン、マドリッドなどで名だたるオーケストラと共演し、今や世界で最も成功しているコントラバス奏者のひとりと言われています。
実はエディクソンさんは、日本の高校で使われている英語教科書「ユニコーン」に、エル・システマの活動紹介とともに登場します。2013年には「ユニコーン」で英語を学ぶ栃木県立栃木女子高等学校の生徒たちと交流し、エディクソンさんは「僕にとって音楽はチャンス。音楽が僕の人生を変えてくれた。お母さんはタクシーの運転手をしながら、僕を育ててくれたんだ。ベネズエラは犯罪率が高いから、とても危ない仕事なんだよ。貧しい環境のなかで育ったけれど、音楽があったから今の僕があるんだ(文英堂さんのサイトより:http://www.bun-eido.co.jp/school/highEnglish/textbook/unicorn/uc_report/uwr03.pdf)」とエル・システマと自らの背景について語りました。
そのエディクソンさんが、『エル・システマフェスティバル2017』のために再び来日し、フェスティバル初日の10月20日に「室内楽マスタークラス」を開講します。プロのコントラバス奏者がボッテジーニの「バイオリンとコントラバスのためのグラン・デュオ・コンチェルタンテ」と「チェロとコントラバスのためのデュオ・コンチェルタンテ」の2曲に取り組むところを、一般の方も含めてどなたでもご見学いただけます。聴講料は1000円です。(お申し込みはこちら:http://www.geigeki.jp/performance/concert123/123-1/)。
また翌21日は「エディクソン・ルイスと仲間達」と題して、バイオリンの辻彩奈さん、ビオラの田原綾子さん、チェロの堤剛さん、ピアノの伊藤恵さんという豪華メンバーとともに室内楽コンサートをお届けします(お申し込みはこちら:http://www.geigeki.jp/ti/)。
エディクソンさんの奏でるコントラバスは、「これがコントラバスという楽器の本来の音色なのか」と驚くほど、力強く、そして温かみがあります。マスタークラスも室内楽コンサートもエディクソンさんのコントラバスの音色を間近で聴ける貴重な機会です。オーケストラのなかのコントラバスとは、ひと味もふた味も違った魅力をぜひ楽しんでいただければと思います。