エル・システマジャパンのフェロー(弦楽器指導ボランティア)として活動している、近藤純子さん。1年前から岩手県大槌町に東京からほぼ毎月足を運び、子どもたちにバイオリンを教えています。そもそものきっかけは、練馬区の自宅にホームステイしていた南アフリカ共和国出身のエマさんが、エル・システマジャパンが大槌町で運営している弦楽器教室で短期インターンをしたこと。昔から音楽が好きで、エマさんとも音楽でつながり、ホストファミリーへ発展したという近藤さん。インターン中のエマさんがどうしているか気になり大槌町を訪ねたことから、弦楽器教室に通う子どもたちに出会いました。
「はじめは自分が弦楽器を教えらえるのか心配でした。でも、私にも子育てなら経験があると思ったんです。子どもは一人ひとりちがう。みんな可能性があって、成長して変わることも知っています」60数年の人生経験がある近藤さんはとても謙虚で控えめですが、その言葉には強い信念が滲みます。最後は浅岡先生(エル・システマジャパン音楽監督)の「大丈夫ですよ」という一言に背中を押されて、弦楽器教室の現場に飛びこんだそうです。
「一生の宝物になるような子どもとの出来事が日々あるんです。子どもたちの居場所に音楽があって、子ども一人ひとりの存在価値がある。合奏は誰かひとり欠けてもできません」と近藤さん。その眼差しは温かく、泉のようなやさしさがこんこんと湧いてくるようです。フェローのリーダーを務める八木澤佑理子さんは、「いつも非常に穏やかで献身的に指導ボランティアでも活躍くださっており、また月に2回程度と非常に頻繁にお越しくださるので、毎回近藤さんのお顔を拝見すると子どもたちも安心する」と話します。
そんな近藤さんは、実はご夫婦で「フェローオーケストラ(http://felloworchestra.org)」に参加しています。「フェローオーケストラ」は、エル・システマジャパンのフェローたちによって構成されるオーケストラで、東日本大震災から6年を迎える今年3月11日には東京のパルテノン多摩で、そして翌12日には相馬市民会館で「相馬子どもオーケストラ」の子どもたちとの共演が決まっています(3月11日の公演チケットは、今月21日(土)10:00より、http://www.agog.jp/ にて販売予定です。12日は入場無料)。
「フェローオーケストラ」では、あえてバイオリンではなくビオラに挑戦している近藤さん。それというのも、「いつか大槌町の子どもたちとビオラを弾いてみたい」という夢があるからだそうです。