「世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ」(原題:Changing Lives)(Tricia Tunstall著、原賀真紀子訳:東洋経済新報社)の続編の英語版が発売になりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/0393245640
前回は、アブレウ博士、ドゥダメル氏へのインタビューを中心としたベネズエラの経験、そして米国で始まっている各種取組の解説が中心。今回は、タンストールさん、共著のブースさんが直接リサーチを兼ねて訪問した25カ国で、それぞれ独自に展開するエル・システマ型プログラムの紹介が目的。関係者への詳細なインタビューと共に、躍動感溢れる素敵な文章で世界中のエル・システマが紹介されています。
例えば、スタンフォード大学ソーシャルイノベーションレビュー(http://ssir.org/book_reviews/entry/playing_for_their_lives_global_el_sistema_movement_music_tunstall_booth)では、世界で一番幸福な国とされているデンマークで疎外感を感じているイスラム教徒移民の子ども向けのプログラムや、ルーマニアの長年放浪の民として差別を受けているローマ族の子どもを対象としたプログラムが紹介されています。もちろん、日本は相馬で始まった活動も、2012、2013当時のまだ始まったばかりの状況を基に解説されています。
そして、世界中の多様なエル・システマを繋ぐ重要なコンセプトが「インクルージョン(包摂)」。家庭の経済的状況、障がいの有無、育った環境、民族、宗教、文化の違いに関わらず、誰でも、いつでも参加できるオーケストラや合唱。このことは、ベネズエラで41年前に始まった時から時空を越えて共有されています。
また、帯にあるレビューがとても良いです。音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズさん。バイオリニストのジョシュア・ベルさん。「芸術が(社会の)変革を導くことができる証拠を探している人は、この大切な本を読むべきです」。これは、TEDやモチベーション3.0で日本でも有名なダニエル・ピンクさんのコメントです。
日本語版の出版はまだ未定ですが、遠くない将来には必ず!!しばしお待ち頂ければ幸いです。