東日本大震災発生からちょうど5年を迎えた3月11日(ドイツ時間3月10日)、「相馬子どもオーケストラ」がドイツのベルリンにて、ベルリン・フィルハーモニーの有志メンバーをはじめとするドイツの音楽家たちと、ベートーベン作曲の交響曲第5番「運命」などを共演しました。
今回のドイツツアーに参加した「相馬子どもオーケストラ」のメンバーは37名。このうち、2013年夏にエル・システマジャパンが支援をスタートした週末弦楽器教室ではじめて楽器を手にした子どもは16名。このわずか3年足らずの間に、子度もたちは仲間と一生懸命練習に励み、「運命」のような難しい曲も演奏できるようになりました。なかには、津波により祖父母や親戚の家が流されたり、避難生活を強いられたり、友達と離れ離れになったりと、厳しい環境にさらされてきた子どももいます。原発事故の後処理も先の見通しが立っていません。しかし、そんな状況にあっても、子どもたちは力強く復興の調べを奏でてきました。
「相馬子どもオーケストラ」は、ベルリン・フィルハーモニーが東日本大震災後に開いたチャリティーコンサートの収益などを基に立ち上がったという経緯があります。ドイツに渡航したメンバーたちは、支援してくださったドイツの方たちに現在の東北の状況を報告するとともに、感謝の気持ちを伝えたいという想いを胸にこの機会に臨みました。今回の演奏会では「運命」のほか、伝統芸能の豊かな相馬が誇る、「相馬盆唄」を披露し、会場は大きな拍手に沸きました。
エル・システマジャパンは、人口3万5千人の東北の小さな町ではじまった試みです。どんな状況にあろうと、希望する子どもはみんな音楽に親しめる機会をつくるよう、事業を進めてきました。その子どもたちがここまで大きく羽ばたき、相馬に、福島に、東北に、日本に、ドイツに、そして、世界の人たちに勇気と希望を与えてくれる存在に成長しました。これも皆様のご支援があったからこそだと、スタッフ一同感謝しております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。