今年3月にサントリーホールでのコンサートや交流イベントを行った米国LAフィルとエル・システマジャパンの関係は、3年前から時間をかけて深まっていました。
2012年に相馬で実施した最初の夏期学習会に、LAフィルが手がけるエル・システマ式プログラムのロサンゼルス・ユース・オーケストラ(YOLA)のマネジャー(当時) Dan Berkowitzさんが講師として参加。
そして、日系人のLAフィルのビオラ奏者Richard Eleginoさんは、2年前から相馬に、そして、昨年末には大槌を訪問してくださっています。子どもたちのために音楽を披露し、指導にも関わってくださっています。
今年もRichard Eleginoさんが、相馬市を訪問。全校児童がたった5人の相馬市の山中にある玉野小学校に、フリーのバイオリニスト所素子さんとともにお越しくださいました。
4年生 1人、5年生 1人、そして6年生 3人にとっては、初めての弦楽器生演奏。定番のエルガー「愛の挨拶」やサンサーンス「白鳥」にうっとりし、カーボン弓と木の弓の音違いクイズで盛り上がった後には、全員がきらきら星のバイオリン体験演奏。あっという間の2時間弱の鑑賞教室で、アンコールの「さんぽ」もとても盛り上がりました。中学校の先生方も鑑賞に来られて、皆さんとても満足されていました。
何よりも感動したのは、みんな真面目に演奏を聞いてくれたこともですが、最後に5人で披露してくれた相馬民謡の「大漁祝歌」。三味線の旨さもですが、4年生の子の掛け声が可愛いこと...。
初夏を迎える高原の緑の中で響く弦楽器の調べ。子どもたちや先生方の笑顔。限界集落と呼ばれる玉野地区ですが、エル・システマジャパンが目指すのは、どのような環境の子どもたちにも一流の芸術環境を整えること。
今後も、相馬市、そして文化庁の支援のもと、学校現場での鑑賞教室事業を展開していきます。