無事、「テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ」の相馬公演は終了致しました。人口わずか3万5千人という小都市に、関係者を含めて180人をベネズエラから招聘して、コンサートを実施するという、かなり無謀な計画でした。しかし、既にお伝えしている通り、Motion Gallerryでのクラウドファンディングキャンペーンが目標金額に達成したことより、最終的にはなんとか赤字にならずにすみそうです。
何より、アンコールを含めて夜10時過ぎまで続いたコンサートに、子どもたち、そして多くの相馬市民の方々から大変盛り上がり、楽しかったとの感想を頂きました。最後の小曽根真さんも参加された「マンボNo.5」(KAJIMOTOさんフェイスブックリンク動画)は、今後、相馬では代々語り継がれるようになるかと感じました。また、池上彰さんと増田ユリヤさんのトークショーも、いつもテレビで見ているように、エル・システマのことを分かり易く説明してもらえてとてもよく理解できたとの声が寄せられています。
そして、ベネズエラの約160人の若者と、相馬、大槌の子どもたちとの交流が、本当に素晴らしい時間となりました。下記のメディア掲載欄からもご覧頂けます多くの新聞報道にあります通り、国、文化、言葉の違いを、音楽を共に奏でることで乗り越えて行ってくれたかと実感しています。TCYOの楽団長を務める、アリソン・ロベラさんは、「今回(交流プログラム)の経験で、相馬の子どもたちが私たちから学んだ以上を私たちは学びました」。プロ奏者として、ザルツブルグ音楽祭を始め、ヨーロッパ、米国で数多くの演奏をこなしてきている彼からか、そのように思って頂けたことを知り、心が震える思いです。
当日、ベネズエラでのエル・システマ事業を統括しているシモンボリバル音楽財団の広報担当からのインタビューに答えて、立谷相馬市長も、震災で傷ついた子どもたちの心の復興が、そもそも相馬でエル・システマが始まった切っ掛けで、音楽で子どもたちは未来に向かって困難を乗り越えると言われました。この表現こそが、まさにエル・システマの創設以来のモットーである、Tocar y luchar (奏でよ、そして、(困難と)闘え)です。なお、これらの、ロベラさん、立谷市長のコメントは、スペイン語ですが、シモンボリバル音楽財団のHPからご覧頂けます。
指揮者のクリスチャン・バスケスさん、ピアノソロの小曽根真さん、そして、TCYOの皆さん、本当に本当に貴重な時間を有難うございました。また、KAJIMOTOさんや相馬市の関係者、そして、クラウドキャンペーンを通して応援下さった寄付者の方に感謝申し上げます。
なお、現在アップしている写真は、すべてフォトグラファー田頭真理子さん撮影のものです。クレジットは、すべて、FESJ/2015/Mariko Tagashira。
1975年にホセ・アントニオ・アブレウ博士によって創設されたベネズエラの青少年音楽教育システム「エル・システマ」。TCYOは、エル・システマで学ぶ子どもたちで組織され、2007年に活動をスタート。現在は、16~25歳の精鋭気鋭な約165名で活動している。
グスターボ・ドゥダメル、ディエゴ・マテウス、ジョシュア・ドス・サントス等ベネズエラ出身の指揮者と共演をするほか、サイモン・ラトル、クラウディオ・アバド、クァク・スン、レベッカ・ミラー、ニコライ・ズナイダー等の世界的な指揮者や、イツァーク・パールマン、ヨーヨー・マ、クシシュトフ・ペンデレツキと共演を果たしている。
2009年TED賞授賞式において、カラカスから衛星中継でグスターボ・ドゥダメル指揮のもと演奏を披露。同年6月、カラカス市442周年を祝って野外コンサートを実施。8月には、グスターボ・ドゥダメル指揮のもとカラカス中心部でさらに大きな野外コンサートを実施した。
2010年に初の欧州ツアーを実現し、ボンのベートーベンフェスティバル、サイモン・ラトル指揮でベルリン、ウィーン、アムステルダム、マドリッド、ロンドンで公演。2012年には2度目の欧州ツアーを果たし、2013年には、クリスティアン・バスケスとディエゴ・マテウス指揮のもとザルツブルグ音楽祭でデビューを果たした。ザルツブルグ祝祭大劇場でのマラソンコンサートでは現地から高い評価を得て賞賛された。2014年の欧州ツアーでは、ストックホルム、ミュンヘンなどで各国のエル・システマ式プログラムに参加している子どもたちとの交流事業を実施するなど、教育プログラムにも力を入れている。
Teresa Carreño Youth Orchestra of Venezuela (TCYO)
テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
クリスティアン・バスケス(指揮)
Christian Vásquez, Conductor
小曽根 真(ピアノ)
Makoto Ozone, Piano
テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ音楽監督。
1984年カラカス生まれ。9歳でサン・セバスティアン・デ・ロス・ レジェス交響楽団にヴァイオリン奏者として加わる。2006年、ホセ・アントニオ・アブレウのもとで指揮を学びはじめ、ほどなくホセ・フェリクス・リバス記念アラグア青少年交響楽団の音楽監督に就任。2008年4月、シモン・ボリバル交響楽団でマーラー交響曲第2番を指揮しデビュー。
これまで、フィルハーモニア管弦楽団、ウィーン放送交響楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等他にも多数のオーケストラに客演している。
2013年に同オーケストラを率いてザルツブルク音楽祭に出演。最近ではロンドン、リスボン、トゥールーズ、ミュンヘン、ストックホルム、イスタンブールなど4度目の欧州ツアーにも導いた。エル・システマ出身で、ドゥダメルに続く次世代の指揮者として、その実力への期待は欧州にも広まっている。
1983年にバークリー音楽大学ジャズ作・編曲科を首席で卒業。同年、米CBSと日本人初のレコード専属契約を結び、アルバム「OZONE」で全世界デビュー。近年はクラシックにも取り組み、国内外の主要オーケストラと共演を重ね、幅広い演奏活動で高い評価を得ている。
13年6月には世界的ヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートンとのデュオ・アルバム「Time Thread」をリリース、全国ツアーを展開。
14年2月にはニューヨーク・フィルのアジアツアーに初の日本人ジャズピアニストとして抜擢され、その後ニューヨークでの特別公演への出演が急遽決定。満員の聴衆に迎えられ、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ多くのメディアでその成功が絶賛された。また、自身のビックバンドNo Name Horsesが 結成10周年を迎え、新譜「Road」をリリース、9月には全国ツアーを行った。
TV番組のサウンドトラックや映画、舞台音楽を手がけるなど幅広く活躍。平成25年度文部科学大臣賞を受賞。
http://makotoozone.com/
主催:一般社団法人エル・システマジャパン
共催:駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館、相馬市、相馬市教育委員会
協賛:シモン・ボリバル音楽財団、ヒルティ財団
協力:TCYO日本ツアー支援委員会
招聘・制作:KAJIMOTO
助成:平成27年度文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業、一般社団法人東京倶楽部
後援:福島民報社、福島民友新聞社、河北新報社
お問い合わせ:一般社団法人エル・システマジャパン
tel : 03-6280-6624 e-mail : info@elsistemajapan.org
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